ラグビーワールドカップの話(転載)

*この記事は2019年12月8日に投稿したnoteからの転載です。

 

最近ろくに文章を書いていなかったのだけれど、ぽっぽアドベントが楽しそうで、つい参加表明をしてしまった。8日目の映子と申します。

 

 

というわけで、今年は何に動かされたかしらと考えてみた。一番に思い浮かんだのは仕事。春からフルタイムの仕事を初めて、強制的に体を動かすようになった。去年の夏は3時間外出するのがやっとだったから、進歩といえば進歩だし、無茶といえばなかなかに無茶である。

 

最近は住んでいる東京を離れることが増えた。日本も海外も、行ったことのない土地に行くようになった。月に1、2度は飛行機に乗っている。腰の重い旅行好きには、こうやって仕事に無理やり動かされるのが丁度良いのかもしれない。

 

そう、わたしは出不精だ。誰かに誘われない限りはそうそう外に出ない。筆不精だから、誰かを誘うこともほとんどない。仕事をやめればあっという間に引きこもりだ。ついでにテレビもあまり観ない。1週間に1度電源を入れれば良いほうだ。朝ドラの録画は永遠に貯まり続けている。ちゃんと再生しているのはねほりんぱほりんだけかもしれない。

 

そんなわたしが、珍しくちゃんと録画してちゃんと再生し、時にはリアタイ視聴したものがある。ラグビーワールドカップだ。日本代表は強くなってすごいなあと思うし応援しているが、自分の国以外の試合を観るのも楽しい。で、出会ってしまったのである。

 

その日は、仕事のあとブラピが宇宙でMAD MAXになったりガンダムになったりする映画を観ていて帰りが遅かった。テレビをつけるとイングランドVSアメリカの試合の終盤が流れている。なんだかめちゃくちゃ目つきの悪い人がいるな、というのが第一印象だった。

 

 

馬鹿みたいなツイートであるが、試合中のジョージ・フォードの顔の険しさったらなかなかコワイのである。試合じゃないときの写真を見て同一人物か疑うくらいには。

 

 

ともかくその日は遅かったので、翌日の夜に録画した試合を観た。そしてすっかりフォードとイングランドのファンになってしまったのだった。

 

目をギラギラさせているくせに冷静なフォードはスタンドオフという司令塔的なポジションで、その試合のゲームキャプテンで、キッカーでもあって、めちゃくちゃ正確なキックを蹴りまくっていた。そしてイングランドは古代か中世の戦を思わせるドライビングモールで押しまくり、どんどんトライを取っていった。まるで破城槌みたいだと思った。

 

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足の速い選手がだーっと走り込んでトライを決めるのもかっこいいが、ドライビングモールはなんかこう、血が沸き立つ感じがする。

 

イングランドは最後の最後にアメリカにトライを上げられたものの、7トライで圧勝した。圧勝したのに、フォードはやっぱり怖い顔をしていたのだった。

 

このあと、トム・カリーが「猫カフェに行きたいのに誰にもついてきてもらえない人」として有名になったり、アルゼンチン代表と乱闘になりかけたり、台風で宿敵フランスとの試合が流れたりしつつ、イングランドは予選プールを突破した(ちなみにイングランドは前大会で史上初の「開催国が予選落ち」という不名誉な歴史を打ち立ててしまっている)。そしてその勢いのまま、あのオールブラックスを倒して準優勝したのである。優勝できなかったのは残念だが、本当に楽しませてもらった。

 

ちなみにイングランドのキャプテンであるオーウェン・ファレルとフォードは幼馴染で、ポジションも同じだ。フォードがファレルの宿題を手伝っていたなんて話もある。

この大会の大一番では、ファレルがフォードに本職のスタンドオフを譲ってセンターに回り、ふたり揃って試合に出て、チームを勝利に導いた。まるで漫画みたいな話だ。20年後くらいに映画化されるんじゃないだろうか。下のツイートの記事を読むとさらにグッとくる。

 

 

というわけで、毎週末テレビの前に張り付いて、ひとりで泣いたり叫んだりしていた秋だった。いまはまた仕事と家の往復の生活で、給料の割に責任が重くて残業も増えて散々だが、ラグビーワールドカップイングランド代表のおかげで2019年の楽しい思い出ができた。彼らのクリスマスが、楽しいものでありますように。